面白いアニメ・ゲーム・小説が知りたい! どうしてこんなに面白い?

面白いアニメ・ゲーム・小説情報を紹介すると共に、「なぜ面白いのか」を考えていきます。 普通のファンの方には情報源として利用していただけます。 作家志望の人たちにとっては参考になるかも?

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レビュー

Steins;Gate 0 ――「シュタゲゼロ」前作に負けないクオリティ







これは、救えなかった世界の物語――

STEINS;GATE 0 PS Vita版
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「シュタインズ・ゲート」という作品をご存知でしょうか。
それは最初、ゲームとして発売され、のちにアニメ化し、一気に有名な作品となりました。
想定化学ADVとして、「時間」をめぐる因果を描いた物語は非常にレベルが高く、そのTRUEエンドはそれまでの物語展開で不可能とされていた「ある物事」を見事にひっくり返し、プレイヤーをカタルシスに酔わせました。

このブログでも、以前に紹介したので、その記事(ネタバレアリ)も読んでみてください。

この作品は、その正統続編として発売されました。
「シュタインズ・ゲート」で、TRUEエンドに辿り着けなかった主人公はどうなるのか――そのIFを描いて見せたわけです。

新たなヒロイン、「真帆」と「かがり」、そして人工知能「AMADEUS」という新たなシステムを加え、物語は再始動します。

今回は「シュタインズ・ゲート0」についてレビューをしていこうと思います。

概要

 物語は、主人公の岡部倫太郎が、AMADEUS「クリス」に出会うことから始まります。
 この「AMADEUS」、普通のAIではありません。
 前作、シュタインズ・ゲートでは、タイムリープという技術が存在していました。これは前作のネタバレになってしまいますが、人間の記憶を読み取り、その何テラバイトもある情報を圧縮、それで過去の自分の脳を書き換えることで、事実上の時間遡行を行うことを可能にしました。

 ここで、この作品は新たに次のような問いを投げかけます。
「記憶を抜き出してデータ化することが出来るなら、それをもとにしたAIを作ることも可能なのではないか」
 アメリカのクリスの同僚であった真帆と「リスキネン教授」という片言の日本語を話す新キャラクターが中心になって、これを実現しました。それが「AMADEUS」です。
 クリスは死ぬ前にサンプルとして自分の記憶を保存しており、岡部はその記憶をもとにした「AMADEUS」と出会うというわけです。
 そして、生前クリスと知り合いだったということで、そのAMADEUSと対話し、AMADEUSの反応を調査する実験を任されます。岡部はスマホでAMADEUSと対話できるようになるのでした。

 この物語の展開、発想の転換は素晴らしいと思います。タイムリ―プという前作の遺産をフル活用し、新たな方向へと物語を進めています。


 ここからは、ネタバレを含め、物語を整理していこうと思います。プレイ後に読みましょう!
「シュタインズ・ゲート」より、根っこにある物語の軸が複雑なので、よくわからない部分があった人は、多いと思います。






第一に、この物語は第三次世界大戦を避けることが新たな目標になっています。そのために、
①「クリスが遺したPCを守る」
②「AMADEUSのデータを守る」
③「クリスの記憶が脳に混在するかがりを守る」
ことが必要になってきます。

いずれにしても、タイムマシン開発競争により大戦は勃発しますが、この3つを達成することで勃発までの時間を延ばすことができるようです。

第二に、この物語では大きく分けて二つの悪役が登場します。
「STORATEGIC・FOCUS」略して「ストラトフォー」……特にレスキネン教授
と、
「米軍と連携した研究室」……特にレイエス教授
です。

中盤にある分岐「スマホの電源を切るか否か」で、岡部がレスキネンと対峙するか、レイエスと対峙するかが変わってきます。

電源を切らないと、ロシアのタイムマシン実証実験によって世界戦は変動、第三次世界大戦の只中にある世界戦へと飛ばされます。
そこでは、AMADEUSが米軍の支配下にあることが描写されます。おそらく、レイエス教授がうまくやった結果、AMADEUSが米軍の手にわたってしまった世界線なのでしょう。
再びロシアのタイムマシン実証実験によって、世界戦は元に戻ります。
そこから枝葉が分かれて、
①私秘鏡裏のスティグマ
②無限遠点のアルタイル
③交差座標のスターダスト

へと変わっていくわけです。
この世界線ではかがりの洗脳が完全に成功しており、戦闘者としての実力を見せてくれます。
①私秘鏡裏のスティグマ では、リスキネン教授の本性が露わになります。
未来の「教授」として鈴羽が語る人物はこの人であったことが明らかになります。
STORATEGICFORCUSの目的は、タイムマシン開発に関する情報を私的な会社が獲得することによって、世界の均衡をもたらす、という破綻した、歪んだ目的でした。

真帆が、岡部からタイムリープの話を聞かずにアメリカに帰国することによって、リスキネンに脳を改造されてしまった世界線です。その真帆は再度日本に戻り、岡部から今度こそタイムリープの話を聞き出し、リスキネンに利用されてしまうのでした。
「AMADEUS」の外部からアクセス不能な記憶領域は、手を出すことが出来ない。しかし、人間なら、拷問することによって記憶を吐かせることが出来る」
そのような理屈によって、岡部は拷問されてしまいます。
勃発した第三次世界大戦によって、岡部は何とか逃走に成功しますが、まゆりは自身がクリスの犠牲によって成り立っているということを聞いてしまい、また、まゆりと鈴羽が行方不明になってしまい、途方にくれるいわゆるBADENDです。

②無限遠点のアルタイルでは、真帆が岡部からタイムリープの話を帰国前に聞くことで、脳をいじられずに済む世界線です。その後、真帆とともにタイムリープマシンを再び開発しますが、こちらでも結局まゆりは自身がクリスが死ぬことで選択された存在であることを知ってしまいます。
まゆりと鈴羽はタイムマシンに乗って過去の岡部を叱咤することを目論みますが、STORATEGICFORCUSにタイムマシンの在り処を知られてしまい、襲撃に遭います。戦闘者となったかがりに助けられ、なんとか時間遡行を行いますが、直前に戦闘ヘリから発射されたロケットランチャーの直撃を受け、生死不明となります。

しかし、生死不明、ということは、死んでしまったということが確定していないことを示します。岡部は二日かけてタイムリープマシンを作り直し、過去へ跳躍、戦闘ヘリが現れる前にタイムマシンを送り出すことに成功します。

しかし、世界戦変動は起こりません。つまり、まゆりと鈴羽は過去の岡部を叱咤することが出来なかったのでしょう。
それでも岡部は笑います。
「フゥハハハ……! 我が名は鳳凰院凶真! 世界の支配構造を破壊し、混沌の未来を作り上げる者だ!」



とりあえず、交差座標のスターダストは飛ばします。(明誓のリナシメントが必須条件のため)

④相互再起のマザーグース
⑤存在証明のオートマトン
⑥明誓のリナシメント

これらは、中盤でスマホの電源を落とすことで分岐する物語です。
構造としては、⑤存在証明のオートマトンは、分岐後のとあるAMADEUSクリスからのCALLに出ないことで発生するルートです。黒ライダースーツ(おそらく中身はレイエス)に襲われた真帆は、レスキネン教授とともに研究室のAMADEUSを確かめに行きますが、まさかのレスキネンがレイエスに発砲され死亡します。
ストラトフォーは壊滅し、米軍の手先であるレイエスが本性を表し、AMADEUSの不可侵領域の記憶データを渡すよう脅します。ここでのAMADEUSと真帆の連係プレイは面白かったですね。
仲良くなったラウンダーの萌郁が助けに来てくれて、一緒にAMADEUSを守ることになります。
このルートでは、AMADEUSの不可侵領域のデータは誰にも取り出せないことが明らかになります。存在するのは、記憶データを全消去するコマンドだけであると。つまり、
①「クリスが遺したPCを守る」
②「AMADEUSのデータを守る」
③「クリスの記憶が移植されたかがりを守る」
このうち、②はそもそも必要なかったことになります。
レイエスに強いられ、真帆はクリスの記憶データを消去する結果になってしまいます。
AMADEUSクリスは消去される間際、こう言います。
「シュタインズ・ゲートは必ず存在する」
リーディングシュタイナーをAMADEUSすらも持つことが示唆されるのも、物語の可能性としては面白い部分でした。
真帆がアメリカに戻る飛行機の中で、クリスの研究を引き継ぎ、タイムマシンに関する研究に意欲を燃やすシーンで終わります。

④相互再起のマザーグースでは、AMADEUSが奪われることで世界戦が変動、まさかのα世界線へ岡部は移動します。
そこで、クリスと再会する岡部。しかし、クリスは新たにタイムリープマシンを開発、まゆりを救えなかったことを延々と公開する岡部を見ていられなくなり、世界線をβに戻そうとしていました。
岡部は、しばしの楽しい時間ののち、β世界戦に戻ります。
そこでは、以前の世界線と異なり、かがりの記憶が一部戻っています。しかしその中には植え付けられたクリスの記憶が混ざりはじめ、かがりは脳に二人分の記憶が混在する非常に危険な状態になります。おそらく、記憶の植え付けはリスキネンによるものでしょう。
このルートでは、完全にかがりの記憶を取り戻すことと、例の歌の解明に注がれます。最終的に歌は未来と過去の人々を行き来して、どこが発祥なのかわからない、という面白い結論に至りましたね。かがりはすべての記憶を取り戻し、他のルートでは鈴羽とまゆりがタイムマシンに乗るところを、かがりがまゆりの代わりに乗ることになります。
まゆりとかがりの母娘関係に焦点を当てたルートです。

⑥明誓のリナシメントは、ゼロの中でも屈指のシナリオだったのではないでしょうか。
岡部は世界線を移動させられた結果、なんと2036年の未来へとたどり着きます。その理由は、その世界線では岡部は精神が崩壊しており、肉体だけが保存されていました。そこに2015年1月31日の記憶移植された結果、その記憶にタイムリープしていた岡部は2036年に目を覚ますことになるわけです。
2025年に岡部は存在していないはず、という疑念が湧くでしょう。実は、死んだのではなく、2025年にレスキネン(?)に拷問を受け、精神崩壊をしていただけだったのです。
「世界を騙していた」
岡部はそのことに気づき、それがシュタインズ・ゲートに至る鍵なのではないか、という発想をここで得ます。
死んでしまったルカ子や、その時代に必死に生きるラボ面の思いを胸に、機能の向上したタイムリープマシンを使用して、岡部は3000回のタイムリープを敢行、2015年にまで戻ってきます。この世界線では、かがりは記憶をほとんど取り戻しておらず、元気がありません。
そこで鳳凰院凶真が復活、STRATEGICFORCUSが奪ったAMADEUSクリスの記憶を削除するために動き始めます。
そこで未来で知ったSTRATEGICFORCUSのアジトに潜入しますが、そこは既に他の者に占拠されていました。米軍に加担したレイエス教授です。
そこで、レイエス教授はクリスの記憶をかがりに植え付けることで、不可侵領域の記憶データを聞き出すことが出来るという結論に至っており、実際にそれを行おうとします。当然、かがりの記憶は消えてしまうわけで、そんなことを岡部は許しません。AMADEUSもそれを拒否しますが、レイエスは次に自分の脳にデバイスを装着、自分の脳にクリスの記憶を宿そうとします。しかし、ダルのハッキングによる記憶データ削除が一瞬早く、レイエスの脳には空のデータが植え付けられ、レイエスは廃人になってしまうのでした。

最後に岡部が例のDメールを送信し、過去の自分に希望をつなげます。

さて、そこで無限遠点のアルタイルを最初からプレイすると、③交差座標のスターダストが追加されます。

③交差座標のスターダストは、いわゆるTRUEエンドであり、明誓のリナシメントでDラインを送ることで発生します。無限遠点のアルタイルから続く未来、岡部が「あの時」の岡部と、「あの時」の鈴羽にDメールを送る2025年の場面が描かれ、最後に、岡部は初号タイムマシンに搭乗し、実証実験を兼ねてどこかの座標に飛んで行ってしまった鈴羽とまゆりを救い出しに向かいます。

”あらゆる未来が、あの時の岡部につながっている”

”世界は騙せる
可能性を繋げ
世界は欺ける”

そんな言葉で彩られて、思わず涙腺が緩むような感動的な物語です。


このシナリオの良い点
①「AMADEUS」
先ほども書きましたが、この発想は素晴らしいと思います。
このアイデアがなければ、クリスを登場させることは不可能だったと思いますし、クリスの遺産が世界大戦の発端になってしまう……というアイデアにもつながらなかったでしょう。

②「真帆とかがり」

真帆はクリスが日本に渡る以前を知るキャラクターであり、クリスのキャラをさらに掘り下げてくれていますし、過去にクリスがやっていた事柄「AMADEUS」開発から、物語を進めていく際に重要な役割を果たしています。
そのキャラクターもなかなか強烈で、シュタゲらしいいい味を出していると思います。

かがりは、鈴羽と一緒に未来からやってきた少女、ということで、各ルートで全く異なる使われ方をされているキャラクターです。クリスと外見が似ていることから、クリスと対比することに使われたり、過去と未来を行き来する物語の中での「歌」の継承という時間モノらしい物語展開を可能にしたり、はたまたライダースーツの謎の人物の正体であったりします。ここまで一つのキャラクターが変化するという、世界線の可能性を示すキャラです。
悪い点

「主人公=プレイヤーの選択が、直接の因果関係で展開につながらない」

ここまで読んできてお気づきでしょうが、今作の世界戦の分岐は、ロシアによるタイムマシン実証実験や、タイムマシン理論に関わるクリスの記憶データに関与すること等で分岐します。

そこで問題なのが、プレイヤーにはどう世界が分岐するか、まったく想像がつかないところです。前作と比べ、自分で世界線を動かす、ということは今作はありません。
先ほど書いたクリスの記憶データに関与する、ということも少し電話に出るのが早いか否か、で分岐が変わったりするので、なぜそれだけでこんなにも違う世界戦へと到達するのか、不可解な点も多いです。

まあ、そこに関して目くじらを立てる必要はないのかもしれませんが、やはりなんか変だな、という印象を抱かせる一因になっていると思います。
前作は、「まゆりの死とクリスの死は、アトラクタフィールドの収束のうちで絶対の事象」というルールがあったため、物語が理解しやすかったのですが、今作はほぼβ世界戦の中で世界線変動が起こるので、変化がわかりにくく、今自分がどの世界線にいるのかわからないので、少々すっきりしません。
全体的に、ぴったりと噛み合わない感じがありますね。許容範囲だとは思いますが、前作の完璧さを前にすると、やはり傷に思えてしまいます。
ですが、正直のあの前作から続編を出すこと自体が困難を極めたと思います。これだけ面白い物語を展開できただけでも、感動的だと感じます。

まとめ……なぜ面白いのか?

やはり、前作にストラトフォーや米軍という新勢力の思惑、AMADEUSという新技術、真帆やかがりという新キャラをうまく加えたというのが理由でしょう。

「続編を出す」ということは非常に難しいことです。前作を尊重しつつ、新しい面白さを加えなければならないのですから。

これだけ多くのアイデアを緻密に積み重ねなければ、あの素晴らしい前作の続編としてまともに成立することは出来ないのです。6つのルートで、見せられる面白い物語をすべて見せてくれた、素晴らしいクオリティのシナリオでした。


今後、アニメ化も予定されているようで、期待が高まりますね。一つの物語にするのは、結構大変だと思いますが、おそらく明誓のリナシメントの次に、無限遠点のアルタイルを描き、かがりも少し掘り下げた感じになるのではないかと予測しています。けっこう自信のある推測です。というか、このゲームの面白い部分を掬いとるとしたら、それしかないですね。
おまけとして、次のものを紹介しておきます。

 シュタゲは色々な追加シナリオが発売されており、今回の正統続編とは違う肩の力を抜いた作品が多数発売されています。もっとシュタゲ世界を味わいたい人は、「比翼連理のだーりん」なんかも、どうぞ。

実はシュタゲ0の前に、書籍にて一部の物語は発売されていました。紙の本で読むのとゲームでプレイするのはまた違う体験だと思うので、読んでみるのもいかがでしょうか。
アマデウス [ いとうかなこ ]

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 OPの「アマデウス」も、プレイ後に聞いてみると新たな発見があります。ぜひ、FULL版も聞いてみましょう。 

「青の炎」主人公自らが計画殺人を犯す青春ミステリー!




今回は貴志祐介氏の小説「青の炎」についてレビューをしていこうと思います。

この作品は、貴志祐介氏原作の、大きくカテゴリー分けすればミステリー作品です。
普通のミステリー作品と違うところは、主人公自身が殺人事件を起こす、罪を犯す側に立っていることです。


概要

湘南に住む櫛森秀一は名門高校に通う優等生。ある日、10年前に母と離婚した養父、曾根が現れた。横暴な曾根から家族を守るため、秀一は法的手段に訴えたが、大人の社会の仕組みは、秀一のささやかな幸せを返してはくれなかった。母親の体のみならず妹にまで手を出そうとする曾根に、ついに秀一の怒りは臨界点に達する。

激しい怒りは、静かな激怒へ変わり青い炎が、秀一の心に燈った。自らの手で曽根を殺害することを決心した秀一は、完全犯罪を計画する。(wikipediaより引用


主人公は悪意から罪を犯すのではなく、あくまで家族を守るために、罪を犯すことを決心します。
読んでいると、思わず主人公を応援してしまいたくなりますが、物語が進んでいくうちに、次第に状況は変わっていきます。
あなたは、主人公の行いが正しいと思いますか? ぜひ、読んでみて確かめてみてください。

この小説の良い点

最初に言ってしまいましょう。本来、いくら優等生であれ、高校生が完全犯罪を遂行するなんて、不可能です。
作者の貴志祐介氏も、あとがきで、この小説通りに物事を運ぶと、ある部分で綻びが生じ、すぐに警察にばれてしまうと書かれています。あくまでエンターテインメントととして楽しむための物語であって、犯罪のバイブルではありませんからね。

しかし、この作品はリアリティーに満ちているのです。

主人公は頭をひねって、必死になって計画を練ります。
警察がどのように事件を捜査するか、高校生なりに理解しますし、他殺だとばれないよう、死体に跡が残らない方法を見つけます。
犯罪のための物品を調達する部分、実際に犯罪を犯す部分、警察に取り調べを受ける部分、どこをとっても、「もしかしたら、これは自分が同じことをやってもばれないんじゃないか」と思わせるほど、説得力があります。

高校生らしい危うい部分があるのも事実です。しかし、それもまた、「この先この主人公は大丈夫なのだろうか」という不安で読者の心をいっぱいにし、先へ読み進めるよう促します。

はまってしまう方は、一気に最後まで読み進めてしまうでしょう。

○この先のレビューはネタバレを含みます。小説を読んだ後に目を通してください。






この小説の醍醐味は、主人公が一生懸命作った計画を実行に移す部分でもありますが、その後に計画のずさんな部分から生まれてくる悲惨な状況でもあるでしょう。

大事な証拠を過去の友人につかまれ、金を要求される。新しくできた恋人に、主人公の罪が暴かれた時、「自分が大好きな彼が犯罪者である」という苦しみを与えてしまう。

どんどん泥沼に沈んでいく主人公の様は、可哀想でもあります。

主人公は証拠をつかまれた友人に対する対処に悩んだ末、その友人を殺すことを決めます。この時点で、主人公にはすでに殺人を犯した者としての「慣れ」のような物が生まれていて、ぞっとするものがあります。

大胆にもコンビニ内、監視カメラの目の下で、正当防衛として友人を殺すだなんて、あまりにもムチャです。

このあたりから、読者はもう主人公が助からないことを感じ始めるでしょうし、主人公もまた、うすうすと覚悟を決め始めます。

そういった主人公が堕落していく流れは、あまりにも可哀想で、続きが気になって仕方なくなってしまったことでしょう。

この小説の悪い点

特に思い当たりません。犯罪計画のずさんな部分も、主人公の高校生らしさに支えられて、読者の不安を書きたてる良いエッセンスになっています。

まとめ・なぜ面白いのか?

やはり主人公が罪を起こすという
他にも主人公が罪を犯す小説作品は存在します。だったり、だったり。
しかし、この作品は主人公に高校生を置いたところで、他の作品と差別化されていると思います。

物語には、恋愛や友情など、少し甘酸っぱいような青春も描かれています。それらが混ざり合って、この小説独特の、面白さを醸し出していると思います。

あの結末は、あの他人思いの主人公の人格を表したものになっています。犯罪小説としては、稀有な作品だとおもいます。



この作品はあの有名な蜷川幸雄によって映画化されています。「蛇にピアス」などの作品が有名ですね。さらに主人公は二宮和也が演じています。

少し原作から改変が加わっているようで、その部分を楽しむのもいいと思います。




「アナと雪の女王」温故知新の作品!



今回はだいぶ前に公開された映画「アナと雪の女王」についてレビューをしていこうと思います。

・印象に騙されるな

「ありのーままのー」とか、「すこーしも寒くないわ(ドヤ」とかMAY.Jと松たか子の扱いの違いとか、表面的な歌ばかりが注目されて、肝心の物語があまり語られていないように思われるこの作品ですが、さすがに大ヒットしただけあって、物語はよく出来ていて、しかも時代にあったものになっています。

「所詮ちょっと歌がよくて、王子様に救われたいディズニー好きの女子が食いついたんだろ」とか思ってるあなた! 
確かに映像も音楽も素晴らしいのですが、物語も良く出来ているのです。



ありのーままのー♪って言いながら走っている女の子はアナじゃないですからね? あれはエルサですからね? TVではあのシーンばかりが取り上げられるので、そう勘違いしている人も多いはず。

そう、MVは嫌というほど見たけど、あれ、本編見たことねえや、そういう方、たくさんいるはずです。

印象に騙されず、一度くらい本編を見てみることをお勧めします!

簡単にあらすじ(ネタバレなし)

触れたものを凍らせたり雪や氷を作る魔法の力を持って生まれたアレンデール王国の王女・エルサは8歳のある夜、妹のアナと魔法で遊んでいるときに、はしゃぎすぎたアナを助けようとして自分の力を制御できず、誤って魔法をアナの頭に当ててしまい、意識不明の状態にさせてしまう。2人の両親である王と妃がトロールたちに救いを乞いアナは回復するが、引き換えにエルサの魔法に関する記憶を失う。

エルサとその両親は、この事故を教訓に、エルサを家の中に閉じ込めて、その能力で誰も傷つけないように、そしてその能力が公になることで、エルサを恐れて、攻撃する人が現れないようにします。

時を経てエルサとアナがお年頃になった時、エルサは他国とのパーティーのため外出することになります。お転婆に成長したアナは、他国の王子と会ったその日に婚約を決め、エルサに報告。当然のように怒ったエルサを引き止めようと、アナがエルサの手袋を剥いでしまい、エルサは初めて、公の場で氷の魔法を使ってしまいます。

恐れる人々に、エルサは襲われます・・・・・・ここからは、本編のお楽しみ。わりとこのシーンのすぐ後、MVのシーンを見ることができます。

(WIKIPEDIAより一部抜粋)

わたしが主にここで述べたいのは、この作品のストーリーの秀逸さです。秀逸な点を説明するために、従来のディズニー映画と比較して、語っていこうと思います。

また、この作品はアンデルセン「雪の女王」を原作としています。その相違点はどこか、そしてなぜ原作から変えたのか、を考えていこうと思います。

どこが良いの?(ネタバレあり)

映像面では、とにかく表情や体の動きが繊細に描かれているところが凄いです。これは実際に映像を見ないとわからないと思います。見ましょう。日本の手描きアニメじゃなくて、3Dアニメも良いものだなと感心するレベルです。

それと神田沙也加さんと松たか子さんの歌声や演技がとても上手なところは、評価されている通りです。
神田沙也加さんは「縦横無尽のファフニール」だったり、「貧乏神が!」でも声優をやっているかなりオタク色の濃い人で、ゴスロリファッションが好きらしいです。

それはともかく、本題の物語について話します。

脚本が凄く練り込まれています。日本のアニメと比べると、やっぱり色々と違うなと思います。

テンポよく映像に絡んだネタが出てくるのは、絵を動かしやすい3Dならではですね。ネタのセンスもすごくよくて、文句つけられないです。

何を描くための物語か、が最初はわからないので先が絶対に読めないのと、細々とした見せ場を随所にいれてくるところも完璧です。

他人より優れた能力を持ってしまった人の苦悩がしっかり描かれています。

エルサとアナの関係性が太い軸として機能しているので、物語が「エルサの追跡」から「アナの救出」だったり「真実の愛とは何か」に向かって移り変わっても、自然に見ていられます。

ここで、従来のディズニー映画との違いについても言い及んでおきます。

「アナの救出」の場面で、「アナが真実の愛で結ばれれば助かる」場面が出てきます。そこで、アナは序盤で会ったその日に婚約を決めた王子にキスを求めます。

普通のディズニー映画なら、ここで幸せなキスをして物語は終わります。しかし、今回は変化球をかけてきました。その王子は、政略のためにエルサを手に入れたかっただけ、と語りだすのです。

これまでの王道→お姫様が王子様の手で幸せになること、だったのに、アナ雪は大胆にそこのお約束を破りました。

そこで、もう一人の旅先で出会った男性が助けにくるのですが、その男性との感動的な再会・・・・・・と思いきや、アナはエルサを助けて氷になってしまいます。

アナ雪→お姫様は王子様を無視して姉のもとに駆け寄り真実の愛を確かめ合う、なんですよね。女性の社会進出や、自立した女性がカッコイイと言われる時代に適した作品であり、だからこそ女性の支持を集めて、人気を博したのかもしれません。

また、原作童話との違いも、同じような話です。

雪の女王→雪の女王(つまりエルサ)が悪役。雪の女王に囚われた少年を少女が追い求め、彼女の涙が少年の心に刺さった氷のかがみを溶かす、という、少女の恋物語になっております。

アナ雪→雪の女王とアナが姉妹関係という荒業。最終的に姉妹愛が最強というところに話を持っていく。という感じです。

もう女の子の夢物語に男性は必要ないのかもしれませんねー
女子同士の友情が一番というのはわかる気がします。

不満点

少しおかしな部分があると感じる人々がいるようです。王子の性格が終盤で豹変しているとのこと。しかし、脚本としては視聴者をうまく騙す良脚本だと思うので、わたしは別にそのくらい気にしない方がいいと思います。

なぜ面白いのか?

時代に合わせた適切な原作改変。そして、見る者を飽きさせないストーリー運びですかね。

そういえば、続編「エルサのサプライズ」も放映されていたようですね。

と言っても、実写版「シンデレラ」と同時上映の、短編映画らしいですが。

この記事を読んで久しぶりにアナ雪見たいなー、でも時間ないなーって思った人。
「ORIGINAL SOUND TRACK」 でも通学通勤中やドライブ中にどうぞ~。



「アークスフィア」 スマホでこっそりネトゲ!?






今回はスマホゲーム「アークスフィア」についてレビューをしていこうと思います。


(アークスフィアの公式サイトへ

概要

今回紹介するアークスフィアは、ISTOREやGOOGLEPLAYでダウンロードすることの出来るスマホゲームです。

いわゆる「ネトゲ」の「MMORAG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)」をスマホに持ってきたゲームです。よって、容量がかなり大きく、Wi-Fiでのプレイが望まれますが、そのぶん他のゲームより満足感は遥かに大きいでしょう。

プレイヤーは、ファンタジーな世界観の中で、四つのジョブのどれかを選び、モンスターを倒し、ダンジョンを攻略し、クエストをクリアしていきます。

ジョブには、「デミゴッド」
「デミゴッド」の画像検索結果
「エルフ」
「エルフ アークスフィア」の画像検索結果
「ルミクル」
「ルミクル アークスフィア」の画像検索結果
「アーマン」
「アーマン アークスフィア」の画像検索結果
があります。
雰囲気は、プレイ動画を見ると直感的にわかると思います。(下の動画はかなりやりこんでる人たちですけどね)



このゲームの良い点


他人との協力プレイ!
これは、なかなか他のゲームアプリでは無いのではないでしょうか。確かに、たとえばパズドラでは、フレンドのモンスターを借りて戦うことができますが、「アークスフィア」では、他人の操作するプレイヤーが動いて現れます。

「他人と一緒に遊んでいる」感がより強く感じられて、凄く楽しいです。チャット機能もあり、仲良くお喋りが出来ます。アイテムの交換や、売買も出来ます。

指でスライドして技を繰り出す直感的なプレイ!

これこそ、スマホ用に最適化されたネトゲである所以です。序盤に、まっすぐ敵に向かって指をスライドすることで、特別な技を繰り出すスキルを覚えられます。

プレイヤーのジョブは、四種類あります。それぞれ指の動きに対応した技が違います。

このゲームの悪い点

良くも悪くも作業ゲームなので、すぐ飽きる人もいるでしょう。しかし、協力プレイをすれば、作業感は払拭されるでしょう。パーティーの誰かがモンスターを沢山倒してくれて、いつのまにかクエストがクリアされているなんてこともあります。

なぜ面白いのか?

「アークスフィア」の面白さは、ネトゲの面白さなので、そもそも、ネトゲがどうして面白いのか、ということを考えます。

ネットゲームは、他のゲームと違い、多くの人とマルチプレイが出来るのが特徴です。

その何がいいのかというと、やはり人と人とのコミュニケーションが出来ることでしょうか。人間は、どんな人でも他人とのコミュニケーションを本能的に求めてしまいます。ゲームの中でその欲求を満たすことが出来るのです。

コミュニケーションとは、社会生活そのものでもあり、ゲームの中で、新しい人間として生活する感覚を得られるのです。

ネトゲ廃人などが生まれてしまうのも、そのせいですね。

くれぐれもやりすぎに注意しましょう。といっても、アークスフィアはプレイヤーが生活を台無しにしてしまうほどやりすぎることを、防止するシステムが備わっています。

無料ゲームアプリは、基本的に「広告収入」、または「課金」によって、商売を成り立たせています。

このアークスフィアは、課金制であり、課金することで様々な制約がなくなり、より快適に行えるようになっています。

その制約の中には、スタミナ制があります。ある程度の時間プレイすると、経験値やアイテムが入手できなくなるようになっているのです。つまり、あまり長時間プレイは無料では出来ないのです。

「アークスフィア」では、健全なプレイをすることができるのです。ダウンロードして、寝る前の暇つぶしにでもしてみるのもいいかもしれません。



「シュタインズ・ゲート」 時間ループ物の集大成!



今回は「シュタインズ・ゲート」についてレビューをしていこうと思います。
「シュタインズ・ゲート」の画像検索結果

今度「シュタインズ・ゲート ゼロ」というゲーム・アニメ続編が放送されるそうです。内容は、β世界線にとどまった岡りんの物語になるそう。楽しみですね!下のリンクから、さらに詳細情報を得られます。

ファミ通の記事リンク



さて、シュタインズ・ゲートに話を戻します。

シュタインズ・ゲートという言葉の意味は、「運命石の扉」です。

「え? シュタインてドイツ語じゃないの? ゲートは英語で、意味わかんなくない?」と思った語学に堪能な、あなた。それでいいんです。

この「シュタインズ・ゲート」という言葉は、中二病な主人公が、特に意味もなく使う言葉として、作中に登場します。主人公の中二病っぷりを現したタイトルなんです。

(本当は、ラスト付近で、この言葉が意味を持ちます。そのシーンにまで到達したとき、思わず感動しちゃう人もいるでしょう)

この作品は、感動できる作品が大好き! という方にお勧めです。

概要

舞台は秋葉原。総勢三人の小さな発明サークル「未来ガジェット研究所」のリーダー、大学生の岡田倫太郎は、タイムマシンに関する講義をする、17歳の天才少女、牧瀬紅莉栖に出会います。

そしてその直後、血だらけで倒れる牧瀬紅莉栖を目撃します。岡田はラボメン(ラボラトリーメンバー)の仲間、橋田至にメールを送ります。

そのとき、岡田は眩暈に襲われます。我に返ると、ラジ館屋上には、人工衛星らしきものが墜落していました。先程受信したメールは一週間前の日付で受信されており、周囲の人々の話すことと、岡田の記憶には、齟齬が生まれていました。

そして、死んでいたはずの牧瀬紅莉栖が、何事もない顔で生きていたのです。

一体何が起こったのか……? その謎を解き明かしていく話になるのですが、解き明かした謎は、さらなる悲劇を呼んでいきます。

下の動画が、PVです。独特の絵柄・雰囲気……そして主人公ですが、それが気に入らない方も、最後まで見ればきっと心に残る作品です。とにかく、12話くらいまで一気見しましょう!


下が、アニメ版のOPテーマです。カッコいい曲なので一度聞いてみてくださいな。

 

本当はゲーム版のOPも載せちゃいたいのですが、それは未視聴の方の、アニメ版の終盤の面白さを減らしてしまいそうなので、やめときます。すごくいい曲ですよ。

さて、この作品の魅力は、映像もキャラクターもですが、ストーリーによるところが大きいので、面白さは上の動画だけでは伝わらないと思います。

しかも、序盤はイマイチ盛り上がらないので、途中で切っちゃう人も多いはずです。しかし! 絶対に最後まで見ないと損です!

その面白さを、下で説明していきます! この面白さは、ネタバレなしに語れません。

だから、ここからはネタバレありで、書いていきます。もし読むなら、作品を最期まで見てからにしてくださいね。

なぜ面白いのか?

記事のタイトルにあるように、この作品は、これまでに蓄積されてきた「ループモノ」の美味しいところをたくさん集めてきた集大成のような作品です。

たとえば、アニメ版の後半最初に描かれる、まゆしいルート。

これは典型的な、何度タイムスリップしても、一つの定まった未来は変えられない、という奴ですね。

この作品は、そこに「世界線」という概念を絡めてきたのが、面白い所です。

普通、時間ものの創作物では、「過去の時点で~が起こった/起こらなかった」世界が、IF世界のように描かれますが、このシュタゲでは、世界線という概念を使うわけです。

ルカの話も、これですね。α世界線では女だけど、βでは男っていう。性別が変わってしまうというのはとてもいいアイデアです。特にヒロインを選択するゲームが原作ですから、ベストマッチなんじゃないでしょうか。

他にも萌郁とかフェイリスとかいますが、記事が長くなるので仕方なく割愛します。

ヒロインの選択と言えば、クリスとまゆしぃですね。

クリスを取るか、まゆしぃを取るか。世界線の選択が、ヒロイン選択そのものになってしまうというのは、面白いです。

そして、もっと素晴らしいのが、世界線を変えたことによって、その世界線の未来から助けがやってくるという展開。この時点まで見て視聴者は、「クリスは消えたのか……」と打開策を考えても思いつかない状態に陥ります。

そこで、助けが来るわけです。ものすごく盛り上がるシーンですね。

最終回手前の、岡田の決め台詞は、最高ですね。この主人公だからこそのシーンになっていて、中二病設定が活きています。本当にヤバい状況では、中二病は中二病ではなくなるんですね。

何気のないシーンが伏線になって、物語はハッピーエンドへ。クリスとの再会/出会いで終幕します。

面白い所といえば、「Dメール」というちょっとオリジナルっぽい舞台装置も合わさったのもいいですね。これのおかげで、これまでのタイムループものとは違う感じが出ていました。

このアニメの悪い点

あまりにもネットスラングを使いすぎて、それだけで初見のお客さんに引かれてしまった感はありますが、そのことは作品の個性を際立たせてもいるので、悪い点と言い切ることは出来ないです。

オマケ

わたしはアニメからはいった口ですが、ゲーム版が原作になっていて、こちらはプレイヤーが自分の手で未来を変えていくことが出来るので、完璧なルートに入れた時、より感動を味わえるようです。

アニメでは描かれなかった物事もきっとたくさんあるんだと思います。

また、作り手の話も面白いですね。ファミ通でこんな記事を見つけました。(ファミ通リンク


今回はこれくらいで失礼します。



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